静まりかえったスタジオに、突如流れるハードボイルドなカントリーウエスタンの旋律。
「来る。もうすぐあの方が来る。」。張り詰める緊張感。しかし、数分が経過しても一向に姿を現さない。
登場曲が7回目のループ再生に差し掛かった時、緊張から動揺に変わり始めていた空気を切り裂くように、
現代の侍、藤岡弘、は我々を焦らしながら登場した。巌流島に現れた武蔵の如く。
「正にこれだよ。僕が夢で見た神獣は」
自身がそう語る翼の生えた黒虎を頭上に従え、ファッションモンスターの替え歌にのせて、
「焼そばパーン」「焼そばパンパパーン」と咆哮を響き渡らせる。
モンスターだ。藤岡弘、こそ本当のモンスターだ。
そんなスタッフたちの確信にシンクロするように、エジプトハゲワシが彼の地で啼いた。