"裁判長、僕です。僕がジョゼフ・ルールタビーユです。"タイトル:黄色い部屋の秘密
原作:ガストン・ルルー
黄色い部屋の秘密のシリーズ
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sm41090212マイリスト
mylist/73029299<編集後記5>
お待たせしました。最終話が完成致しました。今回も最終話を30分以内に収めることができず、前後編に分割する羽目になりました。大体1時間弱と、すさまじい分量になりました。どうも動画時間の見積もりに甘いところがあるようです。今回の解決編は、原作では法廷で推理を説明するという流れなのですが、本動画ではラルサン刑事との対決を強調しようと考えて、二人で推理対決をします。その過程で、犯人が判明してからは、犯人とも対決します。本来はルールタビーユと裁判長のやり取りで進む解決編ですが、この流れを選んだ理由としては、どうもテンポが悪くなって動画時間が伸びそうだなと思ったのもありますし、ラルサン刑事と犯人のセリフを増やして推理や動機などを補完したかったのもあります。この小説を読んでいて、ガストン・ルルーがやたらとエドガー・アラン・ポーやコナン・ドイルを折りに触れて批判しているのを見て、まだどの推理小説でも書かれていない、革新的なことをしようとしているのだなと考えましたが、それだけでなく、作品のテーマ(ネタバレ防止のため伏せる。)ともつながっていると感じました。それでこの構成でいくことにしました。ところで、本動画の元にした原作は、ハヤカワ文庫版で、あとがきで本作について解説があります。それによると、黄色い部屋の秘密は新聞連載小説(十九世紀に生まれたフランスのものを指してフィユトンと呼ぶ)で、当時はメロドラマ要素をちりばめたドラマチックな話運びが典型的な形だったそうです。そのため、ガストン・ルルーは数々の本格推理作家に絶賛されながらも、読者にフェアに情報を提供したり、パズラーとしてのルールなどは念頭になく、謎というものを、読者を惹きつけるための要素として使っていた節があります。こうしてみると、黄色い部屋の秘密は、論理性を重視した作風から、意図せずパズラーとしての推理小説の発展に貢献した小説なのではないかと思います。それで、今回の解決編では、できる限り推理を補完する翻案を目指してみました。