鈴が森で客待ちをしている駕籠(かご) 屋の二人組。
ところが、昨日ここに流れてきた前棒がおめでたい野郎で、相棒がトイレに行っている間に、ほんの数メートル先から、塵取りを持って
ゴミ捨てに来た茶店のおやじをつかまえて
「だんな、へい駕籠」
屁で死んだ亡者のように付きまとい、むりやり駕籠に乗せようとして
「まごまごしてやがると、二度とここで商売させねえからそう思え」
とどなられて、さんざん。
次に来たのが身分のありそうな侍で、「ああ駕籠屋、お駕籠が二丁じゃ」
「へい、ありがとう存じます」
前の駕籠がお姫さま、後ろがお乳母殿、両掛けが二丁、お供まわりが四、五人付き添って、と言うから、てっきり上客と、喜び勇んで仲間を呼びに行きかけたら……
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