セイウチの日なので…
1話#00:26
2話#08:25
3話#14:56
The Beatlesのアルバム『Magical Mystery Tour』のジャケットは4人が動物の着ぐるみをつけているサイケデリックなものだが、一番下で大きく手を広げている(おそらく)ジョン・レノンがかぶっているのがWalrus、すなわちセイウチである。この着ぐるみでも表現されているように、1m2もなる長い牙が特徴の巨大な海棲ほ乳類だ。アザラシやアシカと同じ鰭脚類の仲間だが、セイウチだけで1科1属1種の変わり種。セイウチ科には、中新世の頃には多様性に富んだ多くの種類がいたそうだから生き延びた最後の種類だ。鰭脚類の中ではゾウアザラシ類に次いで大きく、平均で1トン近く、巨大なものでは2トンにもなるという。この重さを生み出しているのは分厚い皮膚と皮下脂肪で、皮下脂肪はなんと15センチにも達する。これにより北極圏の厳しい寒さを生き抜いているのだ。食べているのは主に二枚貝などの底生生物。鼻面に伸びた髭で獲物を探し、鼻周辺の硬くなった部分を使って掘り起こす。セイウチは夏から秋、数千、数万の大集団を作ることがある。そこを狙うのがホッキョクグマだ。ただし、地上最大の肉食動物ホッキョクグマであろうとも、まともにセイウチと戦っては勝ち目がない。そこでホッキョクグマが群れにわざと目立つように突進すると、セイウチはパニックになって逃げ惑う。すると子どもや弱い個体が押しつぶされて取り残されるので、それを襲うのだ。(自然映像作家 栗山 定 フォト解説より)