2022年7月 四国(高知、松山)旅行
【訂正】那須信吾→那須俊平
龍馬脱藩の日、龍馬は才谷屋の神社・和霊神社を訪れて、脱藩の成功を祈っている。このときのことを「竜馬がゆく」で司馬遼太郎は次のように書いている。
【竜馬は脱藩の日、 才谷山にのぼって祠の中に入り、心ゆくまで酒をのんだ。
─ ─ のう、 明智左馬助さまよ。と、心中、祖先の霊をよび、さらにわれいさんの神霊にもよびかけて、
ーー人の命はみかいわい。わしに、なんぞ大仕事をさせてくれかネヤ。と、頼んだらしい。
その足で山をおりると、ふもとの農家で潜伏している澤村惣之丞と会った。
澤村惣之丞は、吉村寅太郎とともにすでに脱藩している男である。こんど、竜馬を誘いだすために国もとへ潜入してきたのだ。
「竜馬ァ、旅装をせい」
「いや、ひょうたん一つで結構じゃ」
胴巻きの中には、親戚の広光左門という人物から借用した金十両が入っており、腰間にはお栄姉の贈りものの陸奥守吉行がある。が、袴もはいていない。
「着流しかい」
「おお、このほうが人目をごまかしやすい」
と、夜になって山越えにとりかかった。
脱藩とは登山のようなものだ。とくにこの四国のばあいは。
この国の北には、四国山脈の峻嶮が、東西に走っている。】(竜馬がゆく・司馬遼太郎)