コンコン...ガラガラ
「んちわー、搾精委員の鳥取でーす。搾りに来ましたー。」
「...あーー、今月担当のタクヤさんはまた溺れたんで、私が代わりに2組の分もやることになったんですよ。」
「っていうかこんな朝早くに来てるなんて、もしかして皆さんタクヤさんに搾ってもらいたかったんですか?」
「あーそうなんですね。私が搾ってるところを見たいがためにわざわざ。来月まで待てばいいのに。」
「じゃあ、朝早くから搾ってもらえるラッキーな人挙手ー。」
「えぇ14人も?1組の人も搾らなきゃいけないんで、かわいそうだけど5人までにしてもらえますか?」
「あーキミは見抜き派?じゃあ一緒に付いてきてください。お昼と放課後にまた来ますねー。あざしたー。」
――この学校では生徒たちの学力を向上させるべく、数年前から新たな取り組みが実施されている。
搾精委員だ。
毎年各クラスから立候補した1名が搾精委員となり、2つのことを行う。
月初めに順にクラスを回り搾精をする"搾精日"と、指名されたら1発搾精する"指名"だ。
もちろんこれらは無条件で行うものではない。どちらもその価格分のポイントが必要となる。
搾精委員はあらかじめ価格50点を持つ。
全生徒は、定期テストと各教科で定められたテストでの点数分ポイントを得られる。
そして搾精してもらうには、搾精委員の価格のうち、指名では10割,搾精日では5割のポイントが必要になる。
支払われたポイントの1割がその搾精委員の価格に加算され、搾精するたびに上昇していくものとなる。
これは決して搾精してもらう側だけが得するシステムではない。
搾精委員は各学期末の点数に価格の1割が加算されるため、WIN-WINだと言える。――
「すいませんね。搾精日なんで後にしてもらえますか?」
「え、指名?」
「...はぇー、スゴイね。315ポイントも貯めてきたんだ?」
「けどゴメンねー、先週の間に何人かに指名されちゃってね。」
「一番安いお手々でも364点まで値上がりしちゃったんだー。」
「まあ握手ならタダだから、温もり忘れないうちに一人でしてきなよ。ほら、ギューっ。」
「またねー。そのポイントはタクヤさんにでも使ってあげなよ。あの人罰ゲームでしかシてないからまだ2ケタだよー。」
...半分ぐらい実話です