夏休みに突入した。
連日猛暑が続くが、かのせなさんはくっそ元気いっぱいである。蝉か。
しかしさすがに遊んでばかりは他アイドルちゃんたちに申し訳なく思ったか、今日は珍しく
自分からレッスン場に足を運んでいる。最近スタイル詐称やらじうよんさいの尻じゃないやら
言われたい放題のかのせなさんだが、ダンススキルは微塵の衰えも感じさせない。
むしろ体幹が安定し、以前よりキレが増したようにさえ思える。やはり尻か。尻のウエイトなのか。
「驚きました」
隣を見ると、口をぽかんと開けたれぷさんの姿。オリジナルとは真逆に暑さに弱い彼女であるが、
かのせなさんのレッスンとあれば頑張ってお出かけもするのだ。
「稽古場でかのせなさんを見るのは初めてですが、まさかこんなにキレキレとは」
そうは言ってもれぷさんも同スペックである。
かのせなさんが出来てれぷさんが出来ないことはあるまいに。
「いえ、れぷさんはあそこまで動けません。確かにエンジンもボディも同じですが、
むしろボディに関してはこちらがやや軽量ですらありますが」
「おらー聞こえてんぞそこー」
柔軟しつつかのせなさんがツッコミを入れる。
「ですが、同スペックでもどこまでブン回すか、回せるかの差異はあります。
計算上同じ馬力でも、踏めなきゃ届かねーと同義なんですヨ」
分かりやすい説明だが、ちょっと湾岸MIDNIGHTぽかった。
「くくく…そーだナ」
本物さんも乗ってきた。なんなのちうがくせいで流行ってんの湾岸MIDNIGHT。
というわけで(?)、久々全力レッスンかのせなさんである。
風の噂だと彼女のガチに目を奪われ虜になるアイドルちゃんは数知れず、だとか。
「確かに分かる気がします。これは堕ちる。くそかっここいい。推せる」
2023/08/13追記・サムネ静画im11250701