魔王軍との長き戦いの果て、ようやく取り返した王女は全ての記憶を失っていた。
滅びた祖国の事も、もういない王国の人々の事も、側近の兵士である私の事も。
魔王は倒したが、もはや祖国は地図になく、そこに住む者はどこにもいない。
生き残ったのは私と王女だけだった。
「ご、ごめんなさい。あたし、何も覚えていなくて……もしかしてあたしの知り合いの方ですか?」
申し訳なさそうに私の目を見る王女に、私は少しだけ微笑んで。
「いいえ、私と貴方は初対面です。ですから……はじめまして、これからよろしくお願いします」
VOCALOIDが歌っています。