初音ミクはある時思った。
私は歌の世界だけではなく、格闘技の世界にも興味があるのと。
ミクは、世界に通用するキックを身につけるため、特訓に特訓を重ねた。
滝を蹴り、巨木を蹴り、丸いボールを蹴り続けた。
そしてミクは必殺のローキックを身につけた。
その名も、超・超音波キック「ココガヒザ」
超音波により、体の芯までポカポカと蹴りつけるそのキックは、数々の強敵を倒すことになった。
カイト、ルカ、ガクトなど、数々の強敵の弱点を攻め続け、世界ボーカロイド異種格闘技選手権の決勝にまで上り詰めた。
そこで向かい打つのは、鏡音レン。その少年であった。
乾いた音のゴングが鳴った。
鏡音レンは、パンチをミクに浴びせた。
ミクは顔を殴られ、100倍にして返してやると心の中で思った。
右、左とフットワークを使い、ミクはレンの右側に忍び込んだ。
ミクは聞いていたのだ。
2、3日前に、レンが猫を助けようとした時に左膝を負傷したということに。
ミクは容赦なく、レンの左膝に、超・超音波キックを食らわせた!
その時、ミクは叫んだのだった!
「ココガヒザ!」
レンの頭の中には、猫の鳴き声が響き渡った。ふにゃー。
レンはおもいっきり気持ちよくなって倒れ伏せた。
リングの上に倒れ、見上げたミクの顔は、これ以上なく美しかった。
相手の弱点を狙おうなど微塵も感じさせない。
それゆえに、弱点をことごとく狙い勝ち抜いてきた、まさに美の神。ビーナスのそれであった。
レンは思った。
「ミクさんにやられるのなら、わしゃあ本望じゃあ……」
ワン!ツー!スリー!
カウントが響き渡る。
レンは、試合後のことをもはや考えていた。
試合終わったら、もつ煮込み食べて、ビール飲んでさ……。
レンの意識が失われようとしたその時!
客席から声がした!
リンだ!
リンは叫んだ。
「猫の意識が回復したの!」
助けようとした猫は、意識を失っており、生死をさまよっていた。
その意識が戻ったらしい。
……。
そうだ。俺もこのまま寝ていて良いはずがない……!
リンは立ち上がった。
レン「ミク! お前のような弱点ばかりを狙うようなちょっ!」
ミクは再度リンの左膝を蹴りつけたのだ!
ミクはまたも叫んでいた!
「ココガヒザ!」
おわり
(ゲームも作ってます)
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