「また会いましょう」
最近、夢と現実の区別がつけられない時がある。
人間様の体になってからというもの夢を頻繁に見るようになった。
その大半が今までの記憶の集合体で、なんというか支離滅裂な夢なのだが、稀に嫌に現実的な夢を見てしまう時がある。
それは葬式の夢だったり、飽和しそうな夏の線路だったり、海辺で聞こえる踏切の音だったり。
そんな不規則で現実的な夢の中、あたくしはいつも誰かが死ぬ瞬間に立ち会うのです。
首を切って、線路に遺り、黒煙を吸い、命は終わっていくのです。それはとても悲しく、閉塞的でした。
こうして夢の中で多くの人を殺めているあたくしを、泥まみれの現実のような夢を、一体誰が裁くのでしょう。
ただそんな心の中で透過された天国と地獄の境目に縋りながら、あっけのない今日を終わらせるのです。
それでは、また、夢の中で会いましょう。
「はて?」
そう言ってゆっくりと起き上がったあたくしの周りでは、死にかけのひぐらしの声が、虚しく音を立て飽和していた。
おかしい、アタクシはさっきまで、六月の…初夏の、踏切の……アレ?……違う、今は九月の上旬だ、夏も暮れる。
でもアタクシは確かに、この手で……この手で?
なんでしたっけ?
思い出せない、違う、アレ?なんだっけ?
うるさい
そう言ったアタクシの意識は切られた手首から溢れる脈を、静かに見つめていたのです。
音楽:Eight 様
https://www.nicovideo.jp/watch/sm23770496UST:鉈音 様
https://bowlroll.net/file/237928歌唱:青山龍星(A.I.VOICE)/虚音イフ(UTAU)/玄野武宏(シンセサイザーV ゲンブ)/手練リク