イノシシさんではない
1話#00:16
2話#06:57
3話#14:24
イノシシによく似ているが、ペッカリー科という独立した科に属する。イノシシの上顎の犬歯は大きく湾曲して外に張り出しているが、 ペッカリーの犬歯はまっすぐ下を向いている。また ペッカリーの背中にはまるで「へそ」 のような大きなへこみ (臭腺) があり、ここからジャコウのようなにおいの強い分泌物を出す。ペッカリーは、このにおいによって群れのメンバーを識別し、視界の悪い森の中でも互いの位置を確認しあうこと ができる。ペッカリー科にはクビワペッカリー、クチジロペッカリー、チャコペッカリーの3種がいて、全て南米に生息する が、もっとも広範囲に生息し個体数も多いのがクビワペッカリ ーである。黒と灰色の体毛が混ざって生えており、首回りにぐるりと白い毛があるのが特徴だ。顔はブタにそっくりだが、クビワペッカリーの鼻先には角質化した爪のように硬い部分があり、土を掘って植物の根や地下茎を食べるのに役立つ。3~30頭ほどの群れで生活し、絶えずブウブウという静かな声でコ ミュニケーションをとりながら採食を行う。基本的におとなしい性質で、近づきすぎなければ人を襲ってくることはない。 ただし、南米の森林には、多くの場合、クビワペッカリーだけでなくクチジロペッカリーも生息している。 クチジロペッカリーは、クビワペッカリーよりも大型かつ攻撃的で、人にでくわすと突進してくるので注意が必要だ (木に登って逃げるのが良い )。クチジロペッカリーがものを噛む力はクビワペッカリーよ りも強く、非常に固い果実や種子を食べることができる。 一方クビワペッカリーはクチジロペッカリーよりも穴を掘るのが得意で、より深いところの食べ物を食べる。このような食べ物の違いが、広範囲での二種の共存を可能にしているのかもしれない。(野生動物研究者 武 真祈子 フォト解説より)