#19 餞を遺す
葉月の末日に、ゆるゆると夏が去っていく様を見るために海辺を歩いてきました。
飽き足らず、まだほんの微かな夏の香りを憶えています。
「夏の追憶と餞」に収録します。
表題曲その1です。
◆作詞・音楽・動画 : 夜風見(Yoll CAZAMI)
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https://x.com/Yoll_CAZAMI?t=5CgaMddOijBtdy6ygA-RNQ&s=09◆歌唱 : 足立レイ
◆写真提供 : 宵彼誰時
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https://x.com/yoikawataredoki?t=zxZif_lFY12S1bN0NX0jPg&s=09-歌詞-
黄昏の色粧す波沿いを
花束を抱えては、なぞり歩いた
海風はまだ、夏の息吹を
憶えたように温いまま
死せる季節の唄が聞こえる
頬を掠める飛沫を拭う
向日葵の背に、末枯れの先触れ
人知れず、挿げ変わる
今際すら隠しながら、侘しさを餞にして
潮の香に撫でられた柑橘が
また一つ色深く木陰に揺れた
山の背丈が町を呑むほど
大きな陰に変わりゆく
薄れゆく面影を、誰も留められずにいた
素知らぬよう握り込む、ささやかな痛み
死せる季節の唄が聞こえる
頬を掠める飛沫を拭う
向日葵の背に、末枯れの先触れ
人知れず、挿げ変わる
今際すら隠しながら、侘しさを餞にして
乱れ咲く潮花を、今も留められずにいた
いじらしく燃ゆるのは、夏色の残滓
死せる季節の唄が聞こえる
頬を掠める飛沫を拭う
向日葵の背に、末枯れの先触れ
今し方、夏去りぬ
今際すら隠しながら、侘しさを餞にして
朧気に思い馳せる昔日を餞にして
黄昏の色粧す波沿いを
花束を抱えては、なぞり歩いた
海風はまだ、夏の息吹を
忘れられずに、秋足らず