ホワイトデーの由来についての情報としては、デイリーポータルZに掲載された2019年の記事
https://dailyportalz.jp/kiji/white-day_nani があり、ほかのウェブサイトでもほぼ同じ内容です。ニコニコ動画にも解説動画が3件(
sm38418508 sm40166444 sm41925754)確認できます。ネット上では、これ以上の解説が見つからないため、自力で調べました。
まとめ
1975年(昭和50年)の時点でホワイトデーはすでに存在したが、当時は女性が男性にキャンディーを贈る日であって、バレンタインデーのお返しをする日ではなかった。そして若者でも知らない人が多いマイナーな文化に過ぎなかった。
1976年(昭和51年)の週刊セブンティーン3月16日号(9巻10号、通巻400号)に「STからの提案/男の子にPRしよう!/3月14日はホワイト・デー/バレンタインのおかえしをもらう日!」という特集記事が掲載された(182~185頁)。『読書世論調査』(1977年版)によると、セブンティーンは当時、最も多くの女子高生に読まれていた雑誌である。
1977年(昭和52年)までには、ホワイトデーが広く知られるようになった。当時小学生であった『70年代小学生歳時記』の著者、初見氏による証言がある(197~199頁)。1979年2月13日の北海道新聞(夕刊8面、縮刷版416頁)に掲載された記事においても、「二、三年前から」始まったとあり時期が一致する。
ホワイトデーの起源については諸説あるが、これらの経緯を踏まえた上で考える必要がある。たとえば、モロゾフがホワイトチョコレートを贈る日としてホワイトデーを作ったという説がある。しかし1975年当時のホワイトデーは、キャンディーを女性に贈る日であった。
参考文献(一部)
岩井精一「次はホワイト・デー/3月14日」『製菓製パン』1980年2月号(46巻2号、通巻555号)176~177頁。
河合彰夫「ホワイト・デーははたして第二のバレンタイン・デーになりうるか/今年のPR大作戦にみるビッグ・イベントへの道」『製菓製パン』1980年5月号(46巻5号、通巻558号)148~150頁。
伊藤幹治『宴と日本文化/比較民俗学的アプローチ』中央公論社、1984年。
小笠原祐子『OLたちの〈レジスタンス〉/サラリーマンとOLのパワーゲーム』中央公論社、1998年。
石井研士『日本人の一年と一生/変わりゆく日本人の心性』春秋社、2005年。
初見健一『70年代小学生歳時記/ぼくらの年中行事 春・夏・秋・冬』ダイヤモンド社、2014年。
浜本隆志『バレンタインデーの秘密/愛の宗教文化史』平凡社、2015年。