枯山水の岩のおもてに一陣の古の東風が吹く
弁天の琵琶の如くに
琵琶法師の弾く琵琶がなる
古今東西の響きあり苔むした石が岩となり
滴る
添水のししおどし
山の彼方に雲が覆いし雨が降る
野武士が刀を交えて殺しあう
稲妻が走り稲穂の首が斬られる
滴る
添水のししおどし
民の嘆きが貴様には聞こえるか
ホーホーと泣きわめき農夫の赤子が餓死した
国は依然として米俵を求める
滴る
添水のししおどし
欄間から光が番に差し込んだ
畳の上では未亡人が這い寄る
喪服の帯が解かれる口説かれる
滴り滴り
添水のししおどし
ばったんこ
峡谷に山滴る荒々しい川が流るゝ
草庵の縁側で世捨て人が万緑に帰す
いまもなお雫が竹の径に零れゆく
滴る
添水のししおどし
ばったんこ