Youtubeからの転載です(
https://www.youtube.com/watch?v=CqrzmdevQSI)。
イタリア屈指のオペラ作曲家であったロッシーニは、1829年に作曲・初演した「ウィリアム・テル」を最
後に39歳でオペラ作曲から引退し、以降の音楽活動は極めて低調になりましたが、作曲から完全に手を引い
たわけではなく、自ら経営するレストランで演奏するための小曲や「スターバト・マーテル」等の宗教曲も
手掛けました。
1863年、71歳のロッシーニはフランスの銀行家アレクシス・ピレ=ウィルの依頼により、ミサ・ソレムニ
スを作曲しました。通常、ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ、盛儀ミサ)はカトリックの典礼のなかでもっとも
荘重かつ大規模なミサ曲であり、ベートーヴェンの作品に象徴されるように大規模な編成で演奏される曲で
あることが多いですが、ロッシーニはその常識を破り、歌手が12人(独唱者4人と合唱者8人)、伴奏は2台
のピアノとハルモニウムのみという室内楽曲と同レベルの小規模編成で作曲しました。歌手が12人なのは
「最後の晩餐」に出席した12人の使徒を意識したとロッシーニは述べており、完成した曲に「小ミサ・ソレ
ムニス(Petite messe solennelle)」と名付けました。これが、ロッシーニが最晩年に作曲した最後の大曲
となりました。
この作品は1864年3月14日、フランスのルイーズ宮私設聖堂で初演されました。作品に対する評価は賛否両
論で、ある批評家が「ロッシーニは自分自身を凌駕した」「フーガは、博学さにおいてバッハに匹敵する」
と絶賛した一方、ヴェルディはロッシーニが宗教曲を手掛けることに批判的で「(ロッシーニは)音楽の勉
強を止めて、別の『(セビリアの)理髪師』の作曲を薦める」と酷評したといいます。
なお、ロッシーニは1866年に本作を大規模な管弦楽による演奏のために編曲しており(
sm43316040)、現
代ではこちらの版の方が演奏機会が多いですが、ロッシーニ自身はオリジナルである小規模編成版の方が好
きだと明言しています。
パトリツィア・ヤネチコヴァ(ソプラノ)
モニカ・ヤゲロヴァー(アルト)
Aleksander Kruczek(テノール)
David Szendiuch(バス)
Michal Bárta、Lukáš Michel(ピアノ)
Jakub David Smešný(ハルモニウム)
パオロ・ガット指揮
チェコ・フィルハーモニー合唱団
Petr Fiala(合唱指揮)