さあ北の代官さんよ
しっぽを巻いて逃げるのかい
ミサイルを撃ち込んでは
拉致をして
海を汚して
我が祖国を脅かすやつ
逃がさんよ逃がさんよ逃がさんよ
いま黒電話が鳴っていたころ
日本海では夜釣りを
楽しむアベックがいた
彼等は磯の香に
あぶられてテトラポッドで
互いに釣られ合う
釣られ合う釣られ合う釣られ合う
漁船ランプが点滅している
急に異臭がしはじめた
山犬の遠吠えが
静けさに木霊する
木霊する木霊する
別れの汽笛は鳴らない
鳴らない鳴らない鳴らない
木造船が北の方へ
帰っていったそのころの
日出づる国の岸には
彼等の姿はもうない
恋も波消しブロックに
打ち消されたようだった
消された消された消された
船には幼き少女もいて
「防風林が私のことを守ってくれなかった」
と言っていた
そう言っていた
その少女もいまでは
人生半ばだ
こっちの国でも家族出きたから
戻るに戻れない
あぁあ
わたしの故郷はどこなの???