気を遣って、相手に合わせて。
自分の気持ちがどこにあるのかも分からなくて。
彼と別れた帰り道。
軽くなった足取りに、思っていた以上に窮屈な関係になってしまっていたのだと少し、息を吐く。
「雨の中、傘を差さずに踊る人間がいてもいい。自由とは、そういうことだ。」
漂う雨のにおいに、いつか見たゲーテの言葉を思い出す。
傘を落として、不器用に踊る。
この夜はわたしのものだ。
雲は落とした雨を残していなくなっていた。
月のない夜、こちらを見下ろす星と目があう。
綺麗と言わせる月がいない、それだけできらめく星もあるらしい。
【めつむり】
音楽:tokagie
https://linktr.ee/tokagie動画:ねんころ
https://twitter.com/@nencoro_otonaイラスト:はし
https://twitter.com/hashibashi3雨降りの日ってあなたの髪が
いつもよりふわふわになって好きだったな
最後が今日でよかったと思う
あなたは癖毛を気にしてるけど
気をまた遣って
じゃなくちゃ拗れて
これじゃ駄目だって
そんなとこだけが両思いで
あなたの声もなくやけに響く
雨だけが感傷飾り立てて 最低
思い出も降って、降って
赤い糸そうに両の手に巻き付けた
絡まった気持ちはどこに託そう
泣けもしない夜
知らずに乱れてゆく足取り
哀しみはこんなに自由だ
傘さえ要らないの止めないで
今を踊る たりらりら
運命とか幸せとかじゃない
でもわたしとあなただったでしょう?
吐き出した息に追いつけ さようなら
彷徨う恋の終わりを
ぐちゃぐちゃでどうしようもない足元を蹴って
あの日と重ねて 醒めて
涙もなく整ったアイライン
空が代わりに滲ませるだろう
わたし行くからね
雨だけを残して捌けた雲
見下ろす星たちと目が合う
綺麗と言わせる月がいないそれだけで
きらめく星もあるらしい