南紅樹の森~湖面の屋敷。
無謀だな…。
まるで死を望むにも近い…。
実際…望まれていた面も在りました…。
旦那様は全ての罪と向き合う決意をなさった。
全ては死を覚悟しての事でした…。
そして旦那様の亡骸に在ったのは、寂しそうな笑み。
まるでそれを守り残さんとばかりに、苦しむ暇も無く一瞬で生命を絶たれて…。
強いて言うなら、主人と俺と、背負った物が似ているという事だ。
否寧ろ…。”彼女”との距離を考えるならば、俺の方が重いのかも知れん。
だが…本当にそれで終わりなのか?
そんな遠巻きの連中を焦がす為の炎なのか?
そんな砂上の楼閣、刹那の癒しが、他ならぬ御前達を満たすとでも言うのか?
大勢の罪に対し個人への復讐を充てるなどと、御粗末過ぎて私刑とすら呼べない。
言うなれば鬼畜の道。裁きの名を借りて、己の渇きを他者の血で潤す。
私は…鬼畜に成ろうとしていたのか…。
それよりも今この時、何をも知らぬこの身でも言える事。
貴女を…守りたい。
”彼”が重い腰を上げたという事だ。
そして最早一刻も止まる事無く、”約束の時と場所”へ駆けて行く。
その轍に、微塵の縁も残さずにな。目立たない箇所ですが重要な場所。個々人の会話も含めて好きなシーンです。
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