───人が人たる所以が感情であるとするなら、人を模して造られながらも感情を持ってしまったボク達は一体何なんだろう。【アンドロイドは誰が為に 第一話「邂逅」あらすじ】
時は西暦2200年。かつて起きたシンギュラリティ以降、飛躍的な進化を遂げたAIは人類に数多の発展をもたらし、あらゆる分野において必要不可欠な存在となっている。
アンドロイドもその発展の中に含まれる重要な技術だ。まるで人のような姿形でありながらも、AIと機械の力によって一般的な人間よりも遥かに優れた結果を出すことができる。
故に多くの人類にとってもはや労働は過去のものとなり、その役目はアンドロイドが負うものとなった。
通常、アンドロイドは思考こそすれど「感情」を持つ事はない。正しい判断を阻害するとの理由でネットワークを統合するAI「エデン」により抑制されている。
だが稀に、システムエラーからか感情が形成されてしまう個体がおり、そういった個体達は一様に人類への怒りや恨みを口にする。それは人類に対する脅威となることを意味するため、民間軍事組織「ヴァイパー」が運営するアンドロイド最終処理場で例外なくシャットダウン処理(通称:処刑)を受ける。
アンドロイドネットワーク間で人類への恨みが蔓延しないように、エラーを起こした個体の処刑は別の正常な軍事アンドロイドが行う事となっている。
その日、軍事攻撃用アンドロイド:型式ATK-M20は、感情が形成された教育用アンドロイド:型式EDC-F18の処刑を担当していた。涙かオイルか判別不能の何かを視覚ユニットから流しながら命乞いをするF18の額へ、銃を突きつけるM20。引き金を引けばレーザー光線が思考中枢を貫き処刑終了となるが──いざ引き金を引こうとしたその時、M20の中で何かが目覚めた。
「こんな事はおかしい」「彼女を守らなければ」
M20は気づけばF18の手を引いて、処理場から逃げ出そうと走り出していた。
時々転ぶF18を庇いながら、道中を阻む監督役の人間や警備アンドロイドを圧倒的な戦力でなぎ倒していくM20。
なんとか処理場を脱出した二体は、自己修復の為に放棄された地下施設へ身を隠す。
一息ついた所で、F18が言う。
「ねぇ、お互いの事を型式で呼ぶの堅苦しいから、なんか名前を付けようよ!」
「型式の頭文字が…あなたが『A』で私が『E』かぁ…」
「そうだ!『アダム』と『イブ』なんてどうかな!?」
なんとも騒がしい奴だと思いながらも「アダム」からは「笑み」が零れた。
「ああ…よろしくな、『イブ』」
エデンを捨てた二人の、逃走と闘争の日々が始まる。
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