彼女はごくごく普通の、ありきたりな大富豪の令嬢であった。
自家用ジェットにて談話に興じる母と娘。突然のエンジントラブルが二人を襲う。
「メーデメーデー!」パイロットの叫びも虚しく、ジェット機は吹雪の降りしきるヒマラヤ山脈の闇へと消えた。生存は絶望的かと思われた。
――時は流れ、舞台はボリビア。
目も霞むほどの高さを誇る断崖を、生身で登る女性の姿がある。
『ララ、わざとクライミングギアを忘れたんだろ?』
「階段みたいなものよ、退屈はしないけど」
洗練されたしなやかな四肢が軽快に宙を舞う。
彼女の名前は、ララ・クロフト。
壮健に成長した、かつての令嬢だった。
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