「日本で47番目に有名な県」「世界遺産があると言っても信じてもらえない」「定休日じゃないです。人がいないだけです」など、自虐的な観光PRを展開している島根県。大国主大神を祭る出雲大社をはじめ、世界遺産の石見銀山、現存12天守の一つで優美な天守閣を備える松江城など、全国でも指折りの観光地を有している。近年は縁結び、パワースポット、美肌温泉などをアピール。さらなる観光客の誘致に力を注いでいる。今回、同県の松江市と出雲市を訪れ、魅力あふれる観光名所の数々を巡ってみた。 舞い飛ぶ千鳥のように破風が見えることから別名「千鳥城」とも呼ばれている松江城。出雲松江藩の初代藩主、堀尾吉晴が1611年に築城した。外観5重、内部は6階層。高さ30メートルある天守閣からは、松江市内が360度に渡り望むことができる(登閣料、大人550円)。 城のお堀には、水面から城下町を楽しむ「堀川遊覧船」が運航されている。1周は約55分。途中16の橋を通過するが、中には橋の下が1メートルほどしかない場所もあり、船の屋根とともに乗客も頭を下げてくぐり抜けていく。船内にはコタツが置かれ、冬でも心地よく眺めを堪能できる(乗船料、大人1200円)。 松江市には、奈良時代より続く美肌の湯「玉造温泉」がある。10を超える旅館のほか、無料の足湯、玉造の温泉水を原料としたコスメショップなどが玉湯川沿いに並ぶ。硫酸イオンを多く含み、化粧水のような効果を持つ玉造の湯。ボトルに詰め、持ち帰えることができる施設も置かれている(専用の容器は200円で販売)。祈願して肌を白くするという「おしろい地蔵」もあり、美肌に向けて至れり尽くせりの観光地となっている。 玉湯川に架かる赤い宮橋を渡りきると「出雲国風土記」に登場する玉作湯神社に到着する。境内に祭られた「願い石」は、古来より人々の信仰を集めるパワースポット。社務所で授けてもらう「かない石」を「願い石」に重ね、願いを込めると、御力が吹き込まれるという。「かない石」を袋に入れればオリジナルのお守りになる(かない石、600円)。 出雲大社神門通りの中ほどにある一畑電車の出雲大社前駅には、1928年に製造された「デハニ50形」が展示されている。無料で中に入ることができ、レトロな車内を堪能できる。雲州平田駅では毎週金土日に「デハニ50形」の体験運転を実施している(1日コース1万3000円)。 出雲市には、年間70万本のワインを生産する「島根ワイナリー」がある。約4万8000平方メートルの敷地内に、ワイン製造工場のほか、レストラン、売店を備えている。仕込み、瓶詰めなど、ワインの製造工程が見学でき、売店では数種類のワインを無料で試飲できる。