五輪の公式エンブレムに盗作の疑いがかけられている問題で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は9月1日、「一般国民の理解を得られない」ことを理由に、佐野研二郎氏がデザインしたエンブレムの使用を撤回すると発表した。
会見で組織委の武藤敏郎事務総長は佐野氏自身が模倣を否定している上、エンブレムを選考した審査委員も模倣や剽窃はなかったと判断しているとして、盗作はなかったが、あくまで一般国民の理解を得られないことを撤回の理由とした。
しかし、記者会見で「一般国民とは誰のことか」と聞かれた武藤氏は、「よくわからない」と答えるにとどまるなど、エンブレム撤回の真の理由が何だったのかは釈然としない。・・・・
東京五輪の組織委員会はに元経団連会長の御手洗冨士夫を名誉会長、森喜朗元首相を会長に据え、以下、トヨタ自動車社長の豊田章男を副会長に、武藤敏郎元財務次官を事務総長にと、役員には錚々たるメンバ-が名を連ねる。しかし、そもそもそうした権威だけで物事が動かせるような時代ではない。新国立競技場といい、エンブレムといい、運営主体に五輪という国際的なイベントを運営する基本的な能力が欠けていることは明らかだ。このままでは、今後より大きな、そして致命的な問題が生じても不思議はない。手遅れになる前に、組織委員会の全面刷新を図るべきだ。