「週刊文春」(2016年3月24日号)に掲載されたグラビア企画「“猫の楽園”青島に上陸してみた!」。小さな島に降り立つと、キュートな猫たちがまるで湧いて出るかのようにあちこちから集まってくる。今回は本誌記事と連動して、島に暮らす猫たちの様子を動画でも撮影。これを見れば、あなたも青島を観光した気分が味わえるかも!?
愛媛県大洲市長浜町の長浜港から定期旅客船で35分。一部では"猫の楽園"とも称される、青島の存在をご存じだろうか? 16名の島民が生活を営むこの島に、100匹を優に超える猫たちが棲んでいるという。
周囲約4・2キロ、瀬戸内海に浮かぶ同島に向かった小誌取材班を岸壁で出迎えたのは、噂にたがわぬ猫の群れ。漁師たちが網をネズミから守ろうと飼い始めた猫が繁殖した結果だという。住民の平均年齢が74歳だというこの島は、今や愛猫家が集う観光スポットになっているのだ。
しかし、商店も自動販売機もない青島で、猫はどう養われているのか。
「港があるから言うて、魚がいっつもあるわけじゃないから。缶詰もキャットフードも目薬もみんな買ってたけど、欠航になると、自分で買いに行けなくて」(島民で、「青島の猫を見守る会」会長の紙本直子さん)
海が時化ると、長い時は定期船が10日も欠航になる交通事情。ブログ等で青島の猫の様子を発信している大洲市の小野一幸さんは窮状を憂え、全国の愛猫家に協力を要請した。おかげで、置き場に困るほどの餌が青島に届き、どの猫も美しい毛並みを保っている。
大洲市役所長浜支所にも話を聞くと、共存に心を砕く様子がうかがえる。
「以前は、一部の観光客がゴミ捨て放題、私有地で撮影し放題で問題でしたが、最近はマナーが向上してきたんです。島民の生活が一番大事ですから、これ以上猫の数が増えないよう、県の獣医師会などの協力で、昨年は約35匹の去勢・避妊を実施しました。今後どう負担していくかは検討中です」
島民の生活、そして"猫の楽園"を維持するために何が必要なのか。青島を訪れる際、猫の愛らしさに目を細めっ放しにならないよう、留意したいものである。
撮影 深野未季