日露両国が1956年の日ソ共同宣言を基礎に、長年の懸案だった領土問題に終止符を打ち、平和条約締結に向けて動き出したようだ。
北方領土について長らく日本政府は、4島は日本固有の領土との立場を貫いてきたが、日本が4島を主張する限り、実効支配するロシア側を交渉のテーブルに着けることさえ難しい状況の中、遂に安倍首相が2島返還の受け入れを決断したとされている。
しかし、ことがそう簡単に進むかは不透明だ。
まず日本政府が冷戦下でアメリカ政府の意向もあり、北方領土や4島の一括返還しかあり得ないとの立場を貫き、その路線で世論の誘導を図ってきたため、2島返還での妥結を国民にどう説明するかという、国民感情の問題がある。これは自民党自身が積極的に、そして意図的に作ってきた世論でもあるため、その旗を降ろした場合の反発がどの程度のものになるかは予想がつかないところがある。
第二次大戦でのソ連軍の北方領土への侵攻がポツダム宣言受諾後だったことや、日本の千島の放棄を明記したサンフランシスコ講和条約にソ連が署名していないことなどから、国際法上はさまざまな議論の対象となってきた北方領土だが、ソ連、そしてロシアが70年以上にわたり4島を実効支配していることと、1956年の共同宣言では2島返還に傾いた日本政府がその後、一貫して4島の主権を主張していることは周知の通りだ。仮に両国の首脳が「やろう」と意気投合したところで、その溝は簡単には埋まりそうもない。・・・
一貫して2島返還を主張してきた東郷氏に、2島返還論の是非や日本にとってどのようなリスクがあるかなどを、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)