今回扱うのは、第四十四段。
一部をご紹介すると…
怪しの竹の編戸の内より、いと若き男の、月影に色合定かならねど、つやゝかなる狩衣に濃き指貫、いとゆゑづきたるさまにて、さゝやかなる童一人を具して、遙かなる田の中の細道を、稻葉の露にそぼちつゝ分け行くほど、笛をえならず吹きすさびたる、あはれと聞き知るべき人もあらじと思ふに、行かむかた知らまほしくて、見送りつゝ行けば、笛を吹きやみて、
前回、徒然草の中でも何が言いたいのか理解しかねる異色の段を紹介したが、今回はそのすぐ次の段。
そしてこれがまた、前段と同様の不可解な話。
よく読んでみると、兼好は相当おかしなことをやっているのだが、本人はそれを自覚もしていない様子で風流を味わっている。
二段続けてこんな話が出て来るとは、兼好法師って、こういう奇行をする癖があったのだろうか?