上流から流れてくるゼリーのような人型…
村祭りを終えた集会所の屋根に伸び上がる顔…
和泉式部ゆかりの井戸で…
都会の片隅で集め続けた奇妙な逸話
今宵もまた、ひとひらの怪異が酒盃に浮かぶ
カウンター越しに怪を見つめる酒場の女が集めた怪異譚!
【収録エピソード】
1.祭りも終わりひっそりとした村の集会所。その屋根をふと見上げると伸びあがるような白い影が…
「村の集会所」
2.鬼の面を被った父が苦手で憂鬱だった豆まき。ある年の節分の日、その理由が朧げにわかる出来事が…
「面」
3.心霊スポットと噂されていた橋。何気なく上流を見ていると流れてきた透明な人型のようなもの。そして耳元で囁く声が…
「Y橋」
4.その人が置かれた状態によって違う色に覆われて視えるという女性。赤は死期が近い人の色だと思っていたのだが…
「赤」
5.急に登校しなくなった受け持ちの生徒宅を訪れた教師。彼女の父親が事も無げに語った驚くべきこととは…
「憑いちゃう子」
6.釣りをしようと林を分け入ったEさん。先客の跡をつけ辿り着いた沼の淵。そこに建てられていた朽ちた看板に書かれていたのは…
「ゆいんむいん」
7. 都心の一角にある住居兼テナントビル。その中のとある一室では入居した住人が次々と姿を消すというのだが…
「カネの音」
8.夏休みの宿題のため史跡めぐりをしようと連れ出した娘。和泉式部ゆかりの井戸を訪れた際、突然彼女に異変が…
「井戸」
9. ある夜山鳩の泣き声で目を覚ましたAさん。途切れ途切れに漏れてくる両親の会話に紛れて聞こえてきた物騒な言葉は…
「めったざしの話」