初めて日本で公開された2018年のウクライナ映画『ドンバス』(セルゲイ・ロズニツァ監督)をブログで小林よしのりが推していたということで、早速見に行ってきた感想会。
映画は、2014年のロシアによるクリミア侵攻に乗じて親ロシア派が掌握したドンバス地方で起きた実話を基にした、13のエピソードで構成されたオムニバス的な劇映画。
ロズニツァ監督はドキュメンタリー出身で、この映画も劇映画ではありながら、決まった主人公や過剰な演出はなく、起きていることを淡々と映していくような手法がとられている。
そしてそのことによって浮かび上がる、侵攻され占領された地で繰り広げられる、ありとあらゆる不条理、そしてむき出しの人間性! それはあまりにも過酷であるとともに、なぜか滑稽味もにじんでくる。
不条理を不条理のまま、モヤモヤした気持ちを決して解消させずに観客全てに突き付けてくる、滅多にない映画体験。
このような作品は、日本の戦争映画ではまずお目にかかれない。
ウクライナ戦争が起きたことによって、日本人にもその意味が理解されるようになったこの映画、もう他人事では済まされない!