かつて福岡県内を走っていた路面電車。筑豊電鉄で運行を続けていましたが去年、惜しまれながら現役を引退しました。その車両が直方市のNPO法人に譲渡されることになり、13日に積み込み作業が行われました。
◆NPO法人「列車を保存したい」
クレーン車でゆっくりと吊り上げられる車両。「筑豊電鉄2000形・2003号」です。1992年までは、路面電車として福岡県内で運行。その後も、筑豊電鉄の黒崎~直方間などで運行を続けていましたが、去年11月に惜しまれながら現役を引退しました。当初は解体される予定でしたが、「列車を保存したい」と手を挙げたのが直方市のNPO法人「汽車倶楽部」です。
NPO法人「汽車倶楽部」 江口一紀理事長「ここに2003号を置く、そのレールです」
「汽車倶楽部」の理事長江口一紀さんは、「2000形」に対して特別な思いを持っています。
◆「汽車倶楽部」約100人の会員
NPO法人「汽車倶楽部」 江口一紀理事長「昭和の50年前後、一番活気があるときに、満員ですよ、人がわんさかわんさね。そういう時に人をこの電車がどれだけ運んだかですよ。『お疲れ様でした』それしかない。だから今度は、われわれがしっかり形として残してあげる。それがせめてもの恩返しですよ」
1999年に発足した「汽車倶楽部」は全国の鉄道ファンで構成され、現在は約100人の会員がいます。これまで5台の機関車などを修復し展示会を開いてきましたが、「電車」を譲り受けるのは今回が初めて。約1か月かけて、敷地内に32メートルのレールを設置し「2000形」を受け入れる準備を着々と進めてきました。
筑豊電気鉄道 岡本誠さん「後世に過去の鉄道、以前走っていた鉄道を残したいという気持ちが非常にお強い方だということを思った。何よりも2000形を残していただけるという汽車倶楽部様の思いを大変うれしく思っている」
NPO法人「汽車倶楽部」 江口一紀理事長「もうちょっとしたら迎えに行くぞと。迎えに行くから待っておけよという感じ。ちょっと緊張していますけどね。正直怖いですよ。モノが大きいからですね。楽しみです」
◆5月7日に一般公開予定
そして迎えた13日。12トンもの重さがある車両をクレーンでつり上げ、慎重にトレーラーに載せていきます。1両を積み込むのに約1時間。この作業を3回繰り返し、夕方には全ての車両がトレーラーに載せられました。
NPO法人「汽車倶楽部」 江口一紀理事長「準備はしてきたが、積んで初めて実感がわいた。この車両を知らない今からの子供たちとかいろいろな方に、またこの列車に乗っていただいて、このにおいとか、椅子に座ったときの感じとか、今まで乗ってきた人と同じような感触を味わってもらいたいし、それを目的でやってますんで、よろしくお願いします」
「2000形」は、汽車倶楽部に運ばれた後、14日から組み立て作業が行われ、5月7日に一般公開される予定です。