この時期に活発になる「虫」。福岡ではマダニにかまれ死亡した例が報告されました。どこにの危険が潜んでいるのでしょうか。かまれたらどうしたらよいのでしょうか。被害が相次いでいます。
◆「マダニにかまれた」女性の証言
福岡県うきは市に住む80代の女性がマダニに足をかまれ、死亡しました。8月1日に足をかまれて医療機関を受診。その後発熱や下痢が続いたため入院していましたが、8月13日に亡くなったということです。
マダニにかまれた太田薫さん「小さいので、最初はわからなかった。びっくりしましたが、『これは絶対にマダニだ』と思いました」
福岡市東区に住む太田薫さん(68)がマダニに噛まれたのは7月23日。通いなれた公園を散策していたときのことでした。
太田薫さん「草むらに花が咲いていたので、見に行きました。そこでかまれたのだと思います。家に帰ってシャワーを浴びている時、足にかみついたマダニが付いているのを見つけました。傷みもかゆみもありませんでした」
◆「マダニ対策は取っていたのに…」
噛まれたのは右足の甲。マダニに注意をはらい、長ズボンにスニーカー、靴下を履いていたにもかかわらず、被害に遭ってしまいました。
太田薫さん「どこに潜んでいるか、わかりませんね。まさかと思いました。『やぶの中にいる』と思っていたから、意外でした」
その後、かかりつけの皮膚科でマダニを取ってもらいましたが、かまれてから約一か月経った現在でも傷跡が残ります。
太田薫さん「医師も、ちゃんと取れたかをよく確認していました。『もし取れていなかったら切開手術になる』と言われました。大変なことになるのだな、と思いました」
◆マダニにかまれるとどうなる?
マダニの栄養源はシカやイノシシなど野生動物の血で、吸った後は身体がパンパンに膨れます。民家の裏山や畑、あぜ道など、草があるところにはいます。散歩中の犬に付いて、それから人間に付くこともあるので、散歩は要注意です。
野生動物の血を吸うので、様々な菌や病原体を持っていて、かまれると感染症にかかることがあります。
◆感染症にかかることも…
その1つが「日本紅斑(こうはん)熱」。症状は頭痛、発熱、けん怠感、発疹などで、かまれると「腫れずに赤黒くなる」のが特徴です。2019年に北九州市在住の78歳女性が亡くなっています。
また、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は発熱、おう吐、下痢、筋肉痛などを引き起こします。8月に亡くなった福岡県うきは市の80代女性は、SFTSでした。かみ口に見た目の特徴は現れません。
感染症にかかった場合、特に高齢者は基礎体力などが落ちていて重症化しやすいので、まずはかまれないための対策が必要です。野外で作業する場合などは、首にタオルなどをまき、肌の露出を少なくすること。「ディート」や「イカリジン」という殺虫成分が入った虫よけスプレーも効果的だということです。
もしかまれていたら、皮膚科へ。ダニは数日間くっついて血を吸うので、自分で無理に外そうとすると、口の一部が皮膚の中に残り、化膿することがあります。
◆外来種セアカゴケグモにも注意
マダニと並んで注意したいのは、セアカゴケグモです。体長1センチほどの毒グモで、背中の赤い帯状の模様が特徴。かまれると痛みや腫れが起き、重症化すると呼吸困難などの症状を引き起こします。
北九州市若松区のグリーンパークで7月24日、小学3年生の男の子が何かに右手の中指をかまれました。場所は、公園内の歩行者用トンネル内でした。職員が調べたところ、セアカゴケグモのメス3匹とオス1匹がみつかり、すべて駆除しました。男の子は2,3時間ほど指に痛みとしびれがあったものの、大事には至らなかったということです。
セアカゴケグモは、オーストラリア原産の外来種。福岡県では2007年福岡市で初めて発見されました。物陰になる暖かいところに巣を作るので、プランター、エアコンの室外機、ベンチの裏、外履き、自動販売機の陰などに注意が必要です。もしみつけたら直接触らないで、殺虫剤で駆除。かまれたら、その部分を水で洗い流して医療機関へ。
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https://rkb.jp/contents/202308/202308177479/