生まれてから小学校入学まで自治体が行う「乳幼児健診」 子供の健康状態の確認や虐待の早期発見など重要な役割を担っていますが、自治体によって回数にはばらつきがあります。日本小児科医会が「12回」の実施を推奨する中、1人あたりの健診の回数は全国平均で6.7回。3歳までで終了する自治体が多いのが現状です。
◆福岡県で最も多い吉富町
福岡県吉富町で行われた5歳児向けの乳幼児健診。子供たちの身長と体重を測り医師が健康状態を確認します。その後は、保健師などによる個別の面談が行われます。子供1人に約10分かけて、言葉の理解度や体の発達度合いを確認します。また、「家庭の状況に変化はないか」「子育てで何に悩んでいるか」など親からも聞き取りを行い、必要に応じて育児のサポートに繋げています。
保健師
「お母さん、感情的になったりしますか?」
母親
「しょちゅうです、きょうだいとたたき合ったりしていて、感情的に言ってしまいます」
◆5歳時の検診メリットは
吉富町は生まれてから5歳までの間に7回の健診を行っています。回数としては福岡県内の自治体で大任町と並んで最も多く、唯一5歳児の健診を実施しています。
吉富町子育て支援課 梅林正典センター長
「(5歳児は)集団になじめないとか対人関係がうまくいかないなどの心配なことが出てくる時期でもあると思います。養育状況なども聞くことで虐待を含め子育てに関する悩みがないかの相談支援も行っています。5歳児健診は大変重要な取り組みだと思っています」
◆日本小児科医会は12回の実施を要望
母子保健法は1歳半と3歳の子供には健診を実施するよう義務づけていますが、回数や内容などは自治体に委ねられています。日本小児科医会は生まれてから2歳までに8回、6歳までは年1回で合計12回の健診の実施を国に要望しています。しかし、全国平均は6.7回にとどまっています。
◆虐待の発見につながるケースも
乳幼児健診は、子供の健康状態の確認や発達障害の早期介入だけでなく、家庭環境の変化を把握し虐待に気づくことができる機会にもなっています。
5年前に福岡県田川市で、1歳の男の子が親からエアガンで撃たれるなどの虐待を受けて亡くなった事件では、乳幼児健診を受けていなかったにも関わらず市による安否確認ができていませんでした。そのため福岡県は、健診の未受診が判明してから約1か月間に市町村の保健師が家庭を訪問する「福岡ルール」を定めました。
◆自治体間格差をなくして
子供の成長や安全にとって大切な役目を果たす乳幼児健診。生まれ育つ地域に関わりなく、
全ての子供に平等に機会が与えられることが求められます。
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https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/743557