「生ごみから肥料を作り、野菜を育てる」循環型社会を目指す動きが学校や企業に広がっています。身近なことろで広がる取り組みとは。
◆学校給食からストローが消えた
宗像市ではすべての小・中学校合わせて21校で、夏休みあけの8月から牛乳のストローをなくしました。プラスチックごみを減らすためです。宗像市は給食のストロー廃止で、年間に約530キロのプラスチックごみを削減し、約1.5トンのCO2を減らす効果があるとしています。
◆給食の食べ残しも捨てない
さらに9月からは、自由ヶ丘小学校の3年生(約58人)が、生ごみなどを微生物の働きによって分解して堆肥化する「コンポスト」を始めました。給食で食べ残したごはんやパンのほか、調理の過程で出た野菜の切れ端などを粉末状にした竹と混ぜ合わせていきます。
小学3年の児童
「ちょっと臭かったけれど、混ぜるのが楽しかったです」
「給食の生ごみも減らせるし、お花や植物の肥料になるからです」
毎週火曜日を「コンポストの日」として堆肥になるまでの過程を観察するほか、できあがった肥料を学校で育てる野菜や花に使う予定です。
自由ヶ丘小学校 杉山修二校長
「食べ残しは出さないようにしようとか、出たときもこういう風に資源に活用していける、つなげていける。とてもいい勉強になっているのではないかなと思ってます」
◆企業にも広がる生ごみ堆肥化
一方、こちらは宗像市の農家レストラン「まねき猫」です。無農薬にこだわった自家製の野菜をたっぷり使った手作りピザが人気で、店舗では野菜や加工品を販売するほか、農業体験も行っています。
この日、レストランに隣接する畑では地元のボランティアらがブロッコリーや白菜の苗を植える作業を行っていました。魚などの生ごみを発酵させて作った肥料で野菜作りが行われています。
ボランティアスタッフ
「化学肥料ではなく自然の『ぼかし肥料』ですね、それを活性炭と混ぜます。野菜の甘みが全く違います」
◆蜂蜜や炭を混ぜて発酵させる
使用しているのは自社の工場で生産する「ぼかし肥料」です。工場には宗像市内の飲食店や道の駅から毎朝約100キロの生ごみが届きます。魚介類を中心とした生ごみを専用の機械で加熱・粉砕したあと、糠と炭、糖蜜や水などと混ぜ合わせ、むしろをかけて発酵させます。記者が触れてみると・・・。
RKB三浦良介記者
「あ、熱いですね、すごい」
堆肥づくりに取り組む まねき猫 清水二三雄さん
「50℃から60℃近くになっているんです。ただの魚粉と糠なんですけどね。この熱が20℃くらいにならないと製品にはなりません」
温度が均等になるよう1週間ごとに土を混ぜて発酵させると約3か月で「ぼかし肥料」ができあがります。
◆「生ごみを燃やすのはやめよう」と言いたい
まねき猫 岩佐政子取締役
「魚介類とかお肉とか野菜くずというのは循環させて土に戻した方が環境にも優しくて、微生物の多い豊かな土作りに役立ちます。生ごみを燃やすのはやめましょうと私は言いたい。宗像市は海と山の幸が豊富なので、それを生かして環境を良くしていきたいなと思います」
◆家庭の燃えるごみの4割は生ごみ
昨年度、宗像市の家庭から出た燃えるごみは約1万6000トンで、生ごみはその42%にあたる約6700トンと推計されています。宗像市では生ごみの量を減らすために、コンポストを普及させたい考えで、専用の容器を購入する際には、費用の半分を補助しています。(上限1000円) 生ごみから肥料を作り、野菜を育てる。循環型社会を目指す取り組みが、子供達やレストランなど身近なところでも広がりを見せています。
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https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/759465