福岡県北九州市で、“おじさん”の顔を焼き付けた甘いお菓子「おじ焼き」が若い世代に人気です。実在する“おじさん”をモデルにした新商品も開発中。一体何が、若者をひきつけるのか。
◆若者が足を止める「おじ焼き」
昭和の雰囲気が漂う福岡県北九州市門司区にある栄町銀天街。若者が「かわいい」と足をとめるのは・・・おじさんの顔が焼かれたお菓子、「おじ焼き」です。
何がかわいいのでしょうか?おじ焼きを食べた若者に聞いてみると・・・。
◆「いい意味で『ブサカワ』です」
若者
「めっちゃいい意味なんですけれど、『ブサカワ』みたいな」
ブサカワとは、「ぶさいく」と「かわいい」と組み合わせた造語。端正ではないものの愛嬌がある様子を示し、動物に対して使われることが多い言葉です。
◆「おじ焼き」味は3種類
つぶあん、カスタードチョコ、焼きカレーの3種類で、おじさんの顔の中にぎっしり餡がつまっています。
◆販売のきっかけは…
明治初期に開港した門司港には、明治から昭和初期にかけて建築された趣のある建物が今でも残っています。栄町銀天街は、その「門司港レトロ地区」のすぐ側にある商店街。かつては多くの店でにぎわっていましたが、今はシャッターが目立ちます。街に活気を呼び込もうと2023年3月に始まったのが「おじ焼き」の販売でした。
◆実在する男性がモデル?
RKB 下濱美有記者
Q「おじ焼き」のモデルはいらっしゃるんですか?
販売店の店主
「そうですね、モデルはいらっしゃるんですけれど、ここから歩いて3・4分ぐらいのところに実はいらっしゃいます」
地元の人に聞いてみると・・・
地元の人
「ここの商店街の誰かじゃないかね」
「もうひとつ、違う通りにいるんじゃないかな」
ここで有力な情報が…
記者
「こんにちは。かわいいいおじさんをさがしているんですけれど、おとうさん、かわいいおじさんじゃないですか?」
商店街の人
「違います。かわいいおじさんはこの裏ですね。はんこやさんです。この裏です」
◆「おじ焼き」のモデルは印鑑職人
聞くと、モデルになった方は、はんこやさんにいるようです。
記者
「こんにちはー。かわいいおじさんっておとうさんのことですか」
菊池正幸さん(75)
「みたいですね」
鮮やかな黄色のセーターを着たこちらの“おじさん”こそ「おじ焼き」のモデル、菊池正幸さん(75)です。64年続くはんこ屋さんを営んでいる菊池さんは、今でも手彫りにこだわる印鑑職人です。
◆「自分の顔を食べるのは、ちょっと不思議」
自らの似顔絵が焼かれたおじ焼きを食べる菊池さん、胸中複雑ではないのでしょうか。
菊池正幸さん
「自分の顔を食べるのも最初はちょっと不思議な気はしたんですけどね。お菓子やからね、私が食べられているわけじゃないからね」
◆別の「おじさん」をモデルに新商品の開発も
「おじ焼き」の売れ行きは好調ということで、開発した企業は、「おじさん」をモデルにした新商品の開発を薦めています。この日は、飴のモデルになる新たな「おじさん」に、できあがった顔のイラストを確認してもらうとのことで、記者も同行しました。向かったのは、お茶屋さん。待っていたのは、緑の法被を着た店主の岡崎勤さん(76)です。
早速、企画会社の代表が、完成した岡崎さんのイラストを取り出しました。
企画会社合同会社ポルト 共同代表 菊池勇太さん
「岡崎さんの特徴を捉えているでしょ」
岡崎勤さん(76)
「似ているか、よう分からんのですよ。自分は、イラストよりもっと男前やと思ってるけん」
◆おじさん第2弾の新商品は『くせになるメロン味』の飴
“くせのあるところがかわいい”とモデルに選ばれた岡崎さん、『くせになるメロン味』の飴になる予定です。
岡崎勤さん(76)
「あめちゃんでしゃぶられてしゃぶりつくしてほしいですね(笑)」
◆開発者は「人柄の良さも一緒に伝えたい」
合同会社ポルト 共同代表 井上夏樹さん
「お父さんたちの人柄の良さ、そういうのも一緒に伝えられるといいですね。門司港は、ディープで面白いところがたくさんあるので若い世代や観光客の方にも知ってもらいたいなと思っています」
「おじ焼き」を開発した企業は、飴以外にも、新たな“おじさん”をモデルにした商品を開発したいと意気込んでいます。これに、岡崎さんもまんざらでもない様子です。
◆おじさまグループ結成も視野?!
岡崎勤さん(76)
「7人くらいでね、おじさまグループの『ナナレンジャー』とかね。そんなんでいいんじゃないですか」
記者
Q担当は(法被の)緑?
岡崎勤さん(76)
「そうですね、私緑がいいですね」
「かわいいおじさん」の世界は、どこまで広がっていくでしょうか。
オリジナル記事を読む
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/915445