安倍首相が7月17日に、新国立競技場の改築計画の「白紙見直し」を発表したことで、「一度走り出したら止まらない公共事業」がひとまず止まったことの意味は大きい。
しかし、今回の迷走の原因とその責任がどこにあったのかの検証は不可欠だ。
新国立競技場の建設主体となる日本スポーツ振興センター(JSC)の鬼澤佳宏理事は7月16日の記者会見で、「安藤先生のお話にあった通り、(デザインの変更は)決定の経緯、条件、約束があり、基本的には国際的にも難しいと判断された。それを前提に議論を進めていくのではないか」と語り、当初予算を大幅にオーバーすることが確実になったザハ・ハディド氏デザインの当初案が最後まで変更されなかった背景に、デザインコンペの審査委員長を務めた安藤忠雄氏の意向が強く働いていることを示唆している。
鬼澤氏はまた、「私どもがいま考えているのはラグビーワールドカップに間に合わせること」とも語り、2020年五輪の前年に日本で開催されるラグビーW杯に間に合わせるためにも、ザハ案の変更が困難であることを指摘している。・・・・
ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、ザハ案に決まった当初から一貫して、「このデザインでは建てられない」ことを主張してきた建設エコノミストの森山高至氏と、大きな節目を迎えた新国立競技場建設迷走劇を議論した。