<飯「綱」大「明神」>は戸隠、<飯「縄」大「権現」>は飯綱山(荒安)と高尾山薬王院で、「綱」と「縄」どちらも「つな」と呼びます。
「綱」とか「縄」とか「明神」とか「権現」とかややこしくなってますが、この長野県北部(戸隠山・飯綱山)から東京都八王子市(高尾山)をむすぶ「いいづな」信仰の繋がりを今回は解析していきたいと思います。
戸隠山と飯綱山では妖狐(霊狐)のクダ狐を駆使する「飯縄の法(術)」を中心とした妖術の伝承が強く、戸隠では飯縄使いから様々な忍術が産まれ、戸隠(伊藤)流忍法が発生し、その戸隠忍法の開祖・仁科甚十郎(大助)は忍法を出身地の伊賀やその隣の甲賀に伝え、伊賀流忍法や甲賀流忍法などが誕生し、戸隠は日本の忍者のルーツとなります。
一方、京都の醍醐寺(真言宗)から鎌倉時代に俊源大徳という真言僧が高尾山に登拝し、不動明王を祀ったところ、同時に飯綱大権現を感得し、飯縄大権現が祀られるようになりました。
しかし、高尾山薬王院の飯縄大権現にはタグ狐の「飯縄の法」の面影はなく、不動明王やダキニ天(稲荷神)、迦楼羅天、歓喜天(多聞天)、宇賀弁財天などが習合した烏天狗で大天狗の「飯縄三郎坊」としての飯縄大権現が祀られています。