早池峰神楽は平成21年(2009年)にユネスコの無形文化遺産に登録されましたが、この世界的に有名な神楽は岩手県早池峰山の麓の3つの地域に
3つの早池峰神楽が現在存在しています。
もともと早池峰神楽が始まったのは室町時代後半の15世紀後半頃からですが、9世紀より天台宗の拠点であった早池峰山信仰の中心の4つの院を持つ
妙泉寺のうち、西登山口の大迫(おおはさま)に位置する池上院妙泉寺は
14世紀に真言宗の支配下になり、その真言宗の進出には真言系の修験道と、真言密教が作った両部神道の思想や歴史観も同時にもたらされました。
両部神道の教義書(理論書)である「中臣祓訓解」の中に登場する瀬織津姫(せおりつひめ)(←古事記・日本書紀には出てこない神)が早池峰の地にもたらされ、十一面観音を本地とする早池峰権現の垂迹の姿としての瀬織津姫とされました。
一方、両部神道(真言密教神道)に基づく古事記解釈による早池峰神楽は
当山派(真言系修験道)の山伏たちの芸能として大迫の大償地区で発生し(15世紀後半)、その後、(大迫の)岳地区に伝わり、やがて江戸時代になると遠野の大出にも伝わり、3つの早池峰神楽が形成されて今日まで至っています。