阪神レース場、芝1400mの短距離レース。
チームレースの第1戦となったこのレースは、あいにくの雨模様。
トレーナーから参考に、と渡されてしたミュージックプレーヤーの電源を落とす。
明日の天気も晴れだね―。
雨音が響き、気圧のせいかやや不調を覚える中、チームミーティングを開始した。
「短距離レースはとにかく、いかにトップスピードまで持っていき、維持できるかだ」
「そうね、馬群に飲まれたら終わりだもの。コーナーからギアを上げて、加速し切る、それが理想ね勝ち方ね」
この雨の中、マルゼンスキーは絶好調の様子だ。
私と同じくマイル以上の適性が高いのだが、短距離を走るウマ娘は他に、ダートを走るウララと育成の間に合わなかったキングヘイローのみ。
短距離に調整して今回はレースに臨んでいる。
「とにかくバクシンあるのみ!ですね!」
サクラバクシンオー。唯一うちのチームで短距離の適性があり、生粋のスプリンターであるチームのエースウマ娘。
レーススタイルは単純明快、先行して、離して、ぶっちぎって勝つ。
やっていることはマルゼンスキーと同じなのだが、何故かこう、ちょっと足りないと思ってしまうのは、言動のせいなのだろうか。
しかし―。
今日も勝ちます!と高笑いするバクシンオーを見て震える。
勝ちたい。この驀進王に。
ゲートが開き、ウマ娘が走りだす。
マイル覇者のエアグルーヴとマルゼンスキーはやや出遅れたが、サクラバクシンオーは流石のレース勘か、好スタートを切り、グングン加速していく。同じくマルゼンスキーも一気に加速していき、先頭集団に混ざっていく。
そのやや後ろでエアグルーヴは脚を溜めている。
出遅れたマルゼンスキーが位置を落として並び、コーナーに差し掛かる。
直線が見え、ギアを上げるマルゼンスキー。
しかしわずかに早く、エアグルーヴが上がっていく。
バクシンオーに並ぶ。エアグルーヴがかわす。前に立つ。
このまま、押し切る―。
ゴール板がすぐそこだ。脚もある。
しかしスッと、ズッと、サクラバクシンオーがさらに加速する。
この短い距離で、サクラバクシンオーが背中を見せる。
広いレース場の中、たった狭いこの直線で、それはあまりにも遠い、
第2レース:
sm38618135ウマ娘:
https://www.nicovideo.jp/series/210400※前作等はシリーズからご確認ください。