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sm38986301「ユリアが操られている?」
琴葉茜は入ってきた情報に頭に血が上るのを感じた。マンフロイの仕業に違いない。暗黒魔法を使って手ごまにしたのだろう。あの男の好きそうなことだ。「ロプト教団……イード神殿で彼らの境遇を知って憐れみを覚えたことはあるけど……マンフロイ、やつだけは許せない」セリスが悔しそうに手を握りしめた。レヴィンが何かを思い出すように目を閉じる。「迫害されたロプト教徒の歴史がマンフロイという巨悪を生み出したのだ。アルヴィスが求めた誰もが公平な世界というのはロプト帝国の末裔でも自由に外を出歩ける世界でもあった。それで満足しておけばいいものを、しかしマンフロイの憎しみは飽き足らずに復讐へと向かった。今のロプト教団が人々を虐殺するのは虐殺されたことがあるからなのだ。お前の剣にはそれを斬るだけの覚悟はあるか」レヴィンの深く冷たい瞳から目をそらさずにセリスは答えた。「ぼくは、最初はぼくが立ち上がればみんなが救われると思ったから剣を取った。でもトラキアで誰のために戦ってるのかわからなくなったこともあった。だけど今はぼくだから助けることができる人々がいるから戦ってるんだ」
――ぼくはマンフロイを斬るよ。そしてユリアを救い出す。
セリスとレヴィンのやり取りの横で葵はイード砂漠でのことを思い出していた。「そういえば私たちを助けてくれたサラちゃんもロプトの末裔なんだよね。今何してるのかな」「サラならこないだリーフと一緒にいるとこ見たな。おじいさまを近くに感じるから『ご挨拶』に行きたいとか言ってたで。魔道書撫でながら」
「……そのおじいさまがどんな人か知らないけど孫娘にそこまで嫌われるってちょっと同情しちゃうかも」
なんて幕間はなかったと思うので忘れてください。