東京電力福島第一原発事故による放射性物質の拡散は、食や健康に対する不安を全国的に広げ、福島県をはじめ全国各地に市民放射能測定所が開設された。こうした放射性物質を可視化する動きは、1986年ソ連のチェルノブイリ原発事故でもヨーロッパ各国に広がった。原発や核関連施設を多数持つフランスも同様で、チェルノブイリ事故から数か月のうちに、市民放射能測定所が市民の力で各地にオープンし、活動を始めた。
当時から活動を続けるNGOのうち、福島原発の事故直後に来日して、福島県民の支援活動を行った2団体、フランス南東部ヴァランスにある「クリラッド」(CRIIRAD)と西部ノルマンディ地方カンにある「アクロ」(ACRO)を、現地を訪れた医療ジャーナリストの藍原寛子氏が取材した…。
3月11日で震災から丸1年を迎えたが、被災地の復興はまだまだ進まず、福島県内外の原発事故の被災者に対しては、長期的に継続した支援が望まれる。フランスのこれら2団体の活動から、今後の支援についての工夫や課題が見えてくる。